貨物取次事業とは
貨物取次事業とは、荷主の需要に応じて運送事業者への貨物運送の委託や取次ぎもしくは運送事業者からの受取りを行う事業です。運送契約を締結しないので、荷主に対しては運送責任を負いません。但し、元請け責任(取次業務の範囲内の責任)は発生します。
利用運送事業と異なり、実運送人からは物量に応じた仕切値を取得できず、利益を載せて荷主に対して請求することができません。
実運送人の請求額及び自社の取次手数料を請求するのみとなります。
以上より、一般的には下記のような不合理が発生し得るので、注意が必要です。
・粗利益率が低い
・運送人に過失がない場合に運送責任はないが、元受責任を問われるケースがあります
・自社の船荷証券が発行できないので、海外の情報が入手しずらい(貨物の追跡や事故時に後手を踏む)
・実運送人(船社・トラック等の運送会社)に対して実績ができない
・被保険利益がないために賠償保険に加入できない 等
(注意)利用運送人を利用した運送行為も「利用運送事業」の届け出が必要となります。
<受託貨物の事故等により荷主に負担を余儀なくさせた損害>
外航貨物取次事業および元請会社として荷主に対しての費用負担を余儀なくさせた損害
(1)貨物の損害により 当該貨物の廃棄処理費用や残存物の取片付け費用
→ 一般的にこの費用は貨物海上保険や利用運送人の加入する賠償保険でも補償されません。元請け責任を問われるケースが散見されます。
(2)トラック輸送中に第三者が衝突してきて損害を被った場合で、依頼(実)運送人に過失がない場合
→ 実運送人には過失がないため、賠償保険も適用外で、荷主より元請け責任の賠償請求を負います
(3)輸送用具の火災、爆発、衝突、墜落、エンジントラブル等による遅延が発生した場合や遅延が免れない場合に生じた当該貨物の急送費用、代替品急送費用、当該貨物の返送費用
→ 利用運送人の発行する運送証券上では、遅延が免責となっているため、然るべき取次契約書を締結していない場合に元請け責任を問われる可能性があります。
<貨物取次事業と貨物利用運送事業の違い>
<画像をクリック頂くと別ウィンドウで大きく表示されます>
平成15年より規制が廃止されて事業登録が不要となり、誰でも運送取次業を行えるようになりましたが、
「その会社が営む事業の範囲を明らかにする」趣旨で目的欄の変更をして、法務局に登記することをお勧めします。
通常、目的欄の変更登記には登録免許税として3万円かかります。登録名称は、「貨物取次事業」となります。
又、将来に利用運送事業を営む予定の方は、同時に利用運送事業も目的欄に追加することをお勧めします。登録名称は、「貨物利用運送事業」となります。
<参考 : 第一種貨物利用運送事業(外航海運)登録について>
http://www.nvocc-club.or.jp/operation/register/port-to-port.html