Q&A
4.FCR(貨物受領書)について
Q1. NVOCCクラブの貨物受領書の特徴は何ですか。
A.1 一般の貨物受領書と異なり、表裏面に約款(標準取引条件)が記載されていますので、荷主と運送人の責任関係について、この約款に基づいて処理されることとなります。
Q2. 顧客との関係に標準取引条件を適用させるためには、どのような手続きが必要ですか。
A.2 発行する方の立場毎に説明します。
1. 国内フォワーダーが海外代理店との関係に標準取引条件を適用させる場合;
代理店委託契約書内に、「代理店委託契約書以外の条件については、NVOCC CLUB標準取引条件によるものとします。」と記載してください。
2. フォワーダーまたは、運送会社が直接的に荷主との関係に標準取引条件を適用させる場合;
見積書に「本見積書に定めのない条件については、NVOCC CLUB標準取引条件によるものとします。」との一文を入れて見積書に標準取引条件を取り込むことで、その見積書で引き受けた運送に標準取引条件を適用させることができます。
3. 元請フォワーダーから貴社に対して、貴社が下請運送会社として貨物を港湾の倉庫より受領して荷主の指定場所まで輸送するようにオーダーがあった場合に、下請運送会社である貴社が元請フォワーダーとの関係に標準取引条件を適用させる場合 ;
見積書に「本見積書に定めのない条件については、NVOCC CLUB標準取引条件によるものとします。」との一文を入れて見積書に標準取引条件を取り込むことで、その見積書で引き受けた運送に標準取引条件を適用させることができます。同時に個別のオーダー毎にFCRを発行し、輸送開始前にフォワーダー宛に送付して、運送契約内容を通知します。
Q3. 上記Q2.-3のケースで、フォワーダーの下請けとして国内輸送をしている運送会社にとって、フォワーダーに対してFCRを発行することのメリットは何でしょうか。
A3. 定期的な輸送だけでなく、不定期な輸送に対しても準契約書として、自社の法律上の立場を明確にできます。これにより2次的な拡大損害や逸失利益に対する補償をしなければならない可能性が低くなります。
但し、国内フォワーダーのノミネーションによる輸入貨物の場合で、複合一貫輸送のB/Lを発行している場合は、国内輸送にもB/Lの条項が適用されます。その場合には国際条約に準じた国内法(国際海上物品運送法)により、国内輸送中の損害に対しても責任制限が適用できるケースも考えられます。
Q4. 自社トラックの空きがなく、下請会社のトラックで運送(利用運送)をした場合はどうなりますか。
A4. 貴社がフォワーダーに対して、事前に見積書等で標準取引条件を提示していたり、標準取引条件を適用することについて了承を得ていれば、標準取引条件16条により貴社の下請の運送会社も標準取引条件内の規定を利用して元請からの請求に反論することができます。
Q5. FCRは運送毎に発行した方が良いでしょうか。
A5. FCRの表裏面約款である標準取引条件に準ずる旨の契約は、包括的に締結する事が可能です。別冊の標準取引条件(FCR)解説書をご購入ください。
ただし、FCR(貨物受領書)は基本運送毎に発行して、運送契約の内容を示す書類として出荷依頼元に対して発行・送付することが望ましいです。
Q6. ノミネーション貨物の場合で、日本のフォワーダーが輸入者の指示で、海外より一貫輸送にて日本へ輸入する場合にフォワーダーが標準取引条件を国内の荷主との関係に適用させることのメリットは何でしょう。
A6. 強制的に適用される法律を除き、運送人として適正な責任範囲と限度額を規定することにより、相互の権利・義務が明確になり、それぞれのリスク管理がしやすくなり、損害時の処理が抵抗感なく処理できるようになります。
Q7. 今までFCRを発行していなかったので、これから発行すると相当な手間が発生するのですが、こういう内容の契約だと示す補記のような書面は必要ないのでしょうか?
A7. FCRの約款である「標準取引条件」を利用する旨を別紙にて包括的に契約して、個別のFCRを発行しない(従来の貨物受領書を利用する)ことも可能です。
標準取引条件を適用させることで、強制的に適用される法律を除いて、運送人として適正な責任範囲と限度額を規定することにより、相互の権利・義務が明確になり、それぞれのリスク管理がしやすくなります。同時に荷主としても事故発生時に運送人の損害処理に違和感なく処理していただけると考えます。
Q8. 輸入貨物は、一回の輸送量が多いため、貨物の金額が高額になることがよくあります。国内運送中の貨物賠償責任保険の限度額の増額はどうすればよろしいですか。
A8. 国内貨物を運送する上で、貨物運送賠償保険に加入されていると思います。この保険金額を常時増額すると保険料が高くなりますので、増値分のみを補償する保険を賛助会員であるインターリンク社が販売しております。詳細は、インターリンク社までお問い合わせください。
Q9. FCRを発行しても法的な拘束力が本当に守られるのか、荷主にどうやって標準取引条件を周知、納得させるのでしょうか?また取引が円滑でなくなるのが怖い側面があります。FCRを発行しないことによるデメリットにはどんなものがありますか?
A9. 見積条件に記載がない事項に対して、どのような処理がなされるかが不明であると、荷主にとってもリスクを適正に管理できないので、荷主としてもそのような問題の解消を望んでいると思われます。
FCRを個別の運送会社で作成すると、荷主にとっては運送会社ごとの条件を個別に確認することとなってしまい業務が煩雑になってしまいます。条件の標準化がなされれば、荷主にとってもリスク管理上、有益なものとなります。条件の標準化がされていないと、場当たり的な処理となり荷主にとっても、デメリットがあると考えられます。
Q10. 海外からの輸入貨物ではなく、国内倉庫(工場)等から出荷された輸出貨物の場合は、利用できないのでしょうか。
A10. もちろん利用できます。